【前編】よりつづいての猫町UG読書会
バタイユ「マダム・エドワルダ/目玉の話。
大岡淳氏のトークショー
これがまるでワタクシのような落ちこぼれにぴったりフィット
特別誂えの補修みたいな特別講義でした。
その特別講義のテキストはこちら
「21世紀のマダム・エドワルダ バタイユの現代性をめぐる6つの対話/大岡 淳/宇波 彰」
【ジョルジュ・バタイユ「マダム・エドワルダ」をどう読むか?】
そこで語られたのは人形に魂を宿された「マダム・エドワルダ」
【マダム・エドワルダ 君と俺との唯物論|江戸糸あやつり人形座 】
その中で「インテリ君」と仮称された主人公の『私』と娼婦の物語。
別の入口を開き
別の理解に至る。
自主学習して臨み、意見交換した後に
その学習事項への補講実施のような流れ。
読書会本編での「わからない」がここで大きく花開くのです。
人形劇の本舞台の際の映像やそれまでの準備や配慮
そしてそれはどう考えてその表現に辿り着いたのか。
それらを聞いているうちにぐんぐん、新鮮に見えてくる。
あまりの浸透力にこちらの気持ちの準備が出来ていなくて
ビックリしながらこのトークショーで一気に染み込んでいく。
その中で、ワタクシが特にぱかっと目からウロコだったのは
大岡さんが本邦の作家、永井荷風に言及された瞬間でした。
“治国のことはこれを避けて論外に措く。”
「濹東綺譚」本文より【青空文庫】
この小説が脱稿されたのは
国号を「大日本帝国」とし、2・26事件が勃発し
翌月にはこの事件の影響を受けて軍部大臣現役武官制を復活させ
いよいよ軍国主義に傾倒する廣田内閣が組閣された昭和11年(1936年)
東京荒川区では安倍定事件で風紀紊乱甚だしい昭和の御代。
バタイユと同じように暮らしにのしかかる暴力を感じながら
浅草の私娼街玉の井の生活と景色を木村荘八の挿絵も見事に
遊興に耽り込んで行ったひとりの文人の姿が描かれています。
せっかく磨いた頭の中身も、こんな乱暴な世の中の役には立てないよ。
ならばイッソぜんぶ無駄にしてやって、痴と情に溺れるが身の悦びさ。
それが自分なりの反骨精神・反体制というものだ。
そんな気持ちだったのかもしれません。
また、それって今の時代の向かおうとしている先や
その中で知的遊戯の猫町UGに参加される皆さんも
まるで同じ繰り返しなんじゃないかとも思いました。
バタイユと荷風、どちらもそれだけだとピンと来なかったけれど
お互いにお互いの姿を映すことで時代とその中に暮らした
東西の「インテリ君」の気持ちに、より近づけたような気がします。
こんな風に、自分の読んだ作品への想いを更新できるのが
猫町UGなんだなぁと改めて実感した次第。
自分の中に長く仕舞ってあったふたつの物語たちが
もともと一つだったようにピタリと寄り添う楽しさ。
余談ですがワタクシが自分のことを「ワタクシ」と表記するのも
この作品の主人公の物語中「わたくし」の表記を真似しております。
さらに余談ですが、病院で過ごす相棒に「濹東綺譚」を読んでみました。
一度読んで以来とんとご無沙汰で、昔は長谷川時雨なんかと併せて
当時の町の雰囲気だけ味わってたなぁなどと懐古しつつ青空文庫にも感謝。
猫町UGに来て物語の蕾群が一気に咲きだして
自分の知識の枝に春が来た人もいるでしょうね。
そんなことをチアキさんにこそっと耳打ちしてみると
「なら、うれしいね」とにやり、仮面の奥の笑顔値千金。
このアハ体験に驚き楽しんでいると
畳み掛けて次の喜びが幕を開けます。
若林美保さんと球
アハ体験的な喜びの空間の中から現れるその姿。
ホントに読書会なの?と思う程の刺激がさらに投下されます。
音楽を伴に現れるその姿。
遊戯のように無邪気
卑猥であるのに清らか。
目の前で千変万化するイメージに招かれ
ここでも一気に理解が膨らんできます。
猫町UG マダムエドワルダ 若林美保のパフォーマンス #猫町倶楽部 #猫町UG https://t.co/jA3XOZonSG
— 山本多津也@猫町倶楽部 (@tatsuya1965) 2015, 6月 21
あどけなく いかがわしく。 あいらしく いやらしく。
猫町UG マダムエドワルダ 若林美保のパフォーマンス #猫町倶楽部 #猫町UG https://t.co/bqngZ2h6Zi — 山本多津也@猫町倶楽部 (@tatsuya1965) 2015, 6月 21
まるで重みのない月の庭にでも遊んでいるような動きと輝き。
そして、膝と膝の間から生まれた翡翠の様な地球の様な「球」
身体の奥から溢れた「球」は
卵でもあり、眼球でもあり
何度も作中に現れたモチーフ。
そして、その先はもう幽玄夢幻融通無碍の中。
ここはぜひ寺田 幸弘氏の 【Facebook】から見て頂きたいです。
昨日は、わかみほさん撮影 綺麗過ぎて撮影中、「さぶいぼ」でました(・:゚д゚:・)ハァハ #若林美保 #猫町 #猫町UG #読書会 pic.twitter.com/jvIb9ZHk0M
— ぶーちゃん@photographer (@fatboy_yuu) 2015, 6月 22
なんだろう、この広がり。
「わからない」と思ってここに来た人間が 卵を割るように、ぱかっと開いてしまう。
前回の猫町UGの谷崎回【前編】・【後編】
大きく重くのしかかるような踊りをイメージしていたら また全然違う場所と時間へと案内してくださいました。
なにも勿体付けてるわけではございません。
こればっかりは実際にわかみほさんを目の前に
真正面から思い切り体験していただきたいです。
しかも、自分と仲間との意見交換で双方向の刺激を受けまくり
脳が温まった高回転のピークパフォーマンスの正にその瞬間に
わかみほさんをぶつけてくるこの猫町UGで
がっぷりとどっぷりと堪能して欲しいです。
ベストドレッサーの皆様
ぐいぐいと別世界に遊んだ後は 各テーブルのベストドレッサー選出です。
この白く無表情でいて自然なお姿。 個人的ベストショットです!
最後は受賞のみなさんで。 ベストドレッサーを獲得したうちのおひとり、この美貌のご令嬢は わがFeti.Tokyoでも活躍中のライターアマゾネスいとうさんです。
チアキ隊長お手製の受賞記念品とともに。 最後はページをめくるのも名残惜しい程に 名作に出会えた時と同じ気持ちで終了です。
参加する人々がフレンドリーなのも 猫町UGがラブリーなのも変わらないのに 読書会の進め方・楽しませ方はどんどん進化。
フェティッシュな空気と コケティッシュな人々。
ディープな課題本と ドープな意見交換。
今回のチアキ隊長お手製ブックカバーは「眼球」 バタイユの灯を掲げて 懊悩の階段を降り往けば 法悦の頂上に登り詰める。
アウトロ
怒濤だからこそ、あっという間に感じます。
サッと切り上げて、お次は懇親会へと続きます。
今回は趣向を変えて、場所を変えて始まると。
ワタクシは、一刻も早くこの空気を伝えるべく 労多きカメラマン氏と智と痴の交歓のこる会場を後にしたのでした。
理解が深まることに加え 様々な角度から楽しめる 大満足な読書会なのでした。
皆様のツイート
赤黒いマニキュア。これ一番人気って書いてあったけど、普段どこで使うんだろ!メイク濃い目を心がけて準備中です。課題本はこのあと読み返します。 #猫町UG #猫町倶楽部 pic.twitter.com/tVIC7grHQJ — なるみ (@Kyo_camellia) 2015, 6月 20
#猫町UG 「マダム・エドワルダ/目玉の話」は金髪のウィッグにヘッドドレスでした。マスクは自分で金色に塗装しました。 #猫町倶楽部 pic.twitter.com/Qur6pTHjl0
— チアキ@猫町UG (@CheeChiaki) 2015, 6月 30
ヘッダー変えました! #猫町倶楽部 #猫町UG pic.twitter.com/qVnYnpRCXh — チアキ@猫町UG (@CheeChiaki) 2015, 6月 29
こちらも参考に。#猫町UG #猫町倶楽部 https://t.co/bCwhXUOHhT
— 山本多津也@猫町倶楽部 (@tatsuya1965) 2015, 6月 24
やっぱり楽しかった、猫町UG!文学論から卑近なシモネタまで、全部話した。眼球譚しか読んでいかなかったけど、目玉の話も読んでみよー。#猫町UG — 小沢カオル (@ozawakaoru) 2015, 6月 21
わかみほさんの笑顔に癒される。いつもありがとうございます( ´ ▽ ` )ノ #猫町UG #猫町倶楽部 pic.twitter.com/1fCagkKB7n
— チアキ@猫町UG (@CheeChiaki) 2015, 6月 21
わかるひとも、わからないひとも一緒に楽しめる。
向き合って、話し合って、分かち合える皆がいる。
仲間になるのもとても、かんたん。
読み終えた本と想いと一緒に
マスクでこの町を訪れるだけ。
猫も杓子もこぞってどうぞ。
猫の町でお待ちしております。
これから
もろもろ仕組んでは企んでは試みてる
知的で痴的で詩的で素敵な猫町UG読書会。
猫の目のように変幻自在
インフォメーションはこちらから!
http://www.nekomachi-club.com
掲載のおくれにつきまして
各位にご迷惑をおかけ致しました。
改めて深くお詫び致します。
新年の始まりに昨年の秘蔵版と考えて頂き
幾分なりともお許し頂けましたら幸いです。
hachi
あいまいなもの、古いもの、「自己顕示欲の少ない人・引っ込み思案な人の告白」や「懺悔」が好き。
そんなお話を聞かせて頂ける方や作品のヒント・モチーフとなって下さるモノ・コト・ヒト自薦も他薦も大募集です。
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