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月刊水中ニーソ8月号イベントレポ


水中1前回に引き続き、水中ニーソでおなじみの古賀学さんと様々な豪華ゲストがアートやファッション、フェチなどについて対談するトークイベント「月刊水中ニーソ」へお邪魔してきました。

8月のゲストは音楽家・文筆家の菊地成孔さん。菊地さんは昨年10月に開催の『水中ニーソプラス』発売記念トークイベントにも登壇されていましたが、このイベントをきっかけに、古賀さん×ゲスト形式のトークイベントが月刊化。新作写真集『水中ニーソキューブ』発売を控え、再度実現した共演に会場の期待が高まるなか、お二人のトークが開始します。今回も、会場に来られなかった方々に、イベントの模様をほんの一部ですがご紹介いたします。

菊地成孔初体験!全天球水中ニーソ

今回のイベントの見どころのひとつは、菊地さんによる全天球水中ニーソ体験! 上下左右360度すべてをパノラマ撮影できる全天球カメラによって、水中ニーソのメイキング映像を撮影。ヘッドセット式のビューワーを装着すれば、見る人の頭の向きで視点を変えることもできるそうです。水中ニーソの撮影現場といえば、深さのあるプール。地上撮影では活かしにくい上下(天地)の感覚が、水中特有の無重力感を生み出します。頭部の振動も視界のぶれに反映されるのですが、それすらも水中のゆらぎのような浮遊感を演出しており、「全天球カメラは水中ニーソを撮影するために作られたのでは?」と感じるほどでした。

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全天球水中ニーソ初体験の菊地成孔さん

フェム国とフェット村のおじさんたち

古賀さん(以下 古) シーズン1のトークイベントでは、口枷屋モイラさんサエボーグさんのような女性アーティストに来てもらったのですが、僕の従来のファンの方はそういう人たちを知らなくて、僕のイベントに来て、初めて彼女たちのような存在を知ったという方が多かったんです。
菊地さん(以下 菊) ポップというか、要するにジャパニメーション的な「痛さ」がないのが古賀さんのお仕事の特徴ですよね。そうした「痛さ」がないから誰でも惹きつけてしまう可能性がある。たとえばシーズン1でゲストに来ていたような女性アーティストたちは、前のイベントで話したようなフェムとフェット――フェミニズムとフェティシズムの問題でいうと、ウェアラブルなグッズを作って自分で身に着けるという、フェムが上位にあって、フェットがそれに利用されるような形を取っている。だけどそこには、フェットが目的の人もいっぱい集まってくるでしょう。
古 外にフェット村のおじさんがたくさん住んでいるわけですね(笑)
 そう。フェット村のおじさん(笑)フェット村のおじさんたちがフェムを理解するところにはひとつ壁があるんですよ。その壁を乗り越えていくとだいぶ視点が広がって楽しくなるんだけど、なかなかそうはいかないんだよね。
 水中ニーソはフェット村から見ると、勝手にお山の向こうに行ってフェム国と外交してるようなものだったり(笑)
 水中ニーソは壁を撤廃する力があるからね。もう一つは、水中フェチのなかの「窒息」っていうSM的な要素――要するにセックスに含まれるような苦悶が良いっていう人たちが悦ぶ要素が、古賀さんのお仕事には全くないので、そういう性的にダークなフェティッシュを持つ人を排除するんですよね。フェチというのはやっぱり穢れと結びついているわけで、とりわけ「苦悶を見たい」という意識が精神的に汚い。水中ニーソにはそういうハラスメント系の有毒さがないですよね。一ミリでもあったら、こんなに毎月毎月展示はないと思う(笑)やっぱり古賀さんの何が成功しているかって、フェムとフェチの間にある壁を壊す力を持っていて、フェムと手を組める可能性があるんだっていうところでしょう。同一性が失われた状態で壁をないことにするという解決策もあるけど、ちゃんと壁があるのを乗り越えてシェイクハンドするっていう、本当に政治的なことをやっているんですよね。なおかつそれを戦略的に成功させたというのが、古賀さん最大のお仕事だと僕は解釈しています。

『水中ニーソキューブ』試写会

後半の目玉は、8月21日に発売される新作写真集『水中ニーソキューブ』の試写会。水中で絡み合う女の子たちがまぶしい一冊を、贅沢に全ページプレビューします。

水中3

 写真も、前作までは基本的に1ページ1枚の配置だったんですが、今回は映像的な見せ方をしたほうがおもしろいなと思って。点数を載せたいというよりはシークエンスを見せたかったので、マンガのコマ割りみたいにしてみました。ただ今回は取れ高が良すぎちゃって(笑)僕が元々動画をやっていたのもあって、シャッター速度の早いカメラで一定時間ずーっと連写していったものから、コマ割りにしたときにきれいなものを抜き出していくというのをやっています。一回の撮影ですごい量の写真を撮るので、セレクト前の段階で分母が2万とかになってしまうんです。それで写真集本文の作品が全部で315枚。
 300/20000って音楽や映画でいっても相当ですよね。2万曲作曲して300曲発表するなんてことはないわけですから。
 それも削られたというより、本文中で完全に使われていないという部分が多いです。モデルの女の子たちに伸びしろがあって、やればやるだけ上手くなっていく状態だと、「せっかくここまでできるようになったんだから、先週撮ったあのシーンをもう一回撮り直したいな」って、同じ衣装・同じ構図でまた撮り直したり。
 古賀さんが興奮しちゃうわけね(笑)確かにものすごく贅沢。フェティシズムにはどこかチープさがあるものだけど、水中ニーソは必要以上にリュクスで、貧乏臭さも穢れのかけらもない。このリュクスさと強度が、現在古賀さんが水中の女の子写真集の市場を独占している所以だと思います。ただこのインフレ状態を抜けた後どうなるかというのも気になるので、マーケットは大きくなっていってほしいですね。

『水中ニーソキューブ』が原宿にやってくる!

『水中ニーソキューブ』発売を記念して、8月21日(金)~9月2日(水)原宿・PATER’S Shop and Galleryにて、『水中ニーソキューブ』展が開催されます。
会場では『水中ニーソキューブ』収録写真をプリントした作品やしまりすちゃんの海洋堂フィギュア全天球映像制作チーム・渡邉課による映像作品「全天球水中ニーソ」の展示が! さらに会場では、写真集に登場するオーバーニーソックス三種類が販売されるそう。夏の終わりに、水中ニーソの魅力にひんやりめろめろになってみてはいかがでしょうか。

写真集『水中ニーソキューブ』

■著者:古賀学
■価格:2,000円+税
■B5判/並製/オールカラー・96P
※8月21日(金)からスタートする写真展会場で先行販売。
※現在、水中ニーソのネットショップで通販の予約受付中!!
■予約サイト:http://sprite.theshop.jp/

古賀学『水中ニーソキューブ』展

■開催期間:2015年8月21日(金)〜2015年9月2日(水)
※8月27日(木)休廊
■会場:原宿・PATER’S Shop and Gallery
http://www.paters.co.jp/
■住所:東京都渋谷区神宮前2-31-18
■開館時間:12:00〜19:00
■TEL:03-3475-4947
■入場料:無料

イベント概要(終了)

タイトル:月刊水中ニーソ
場所:中野ブロードウェイ Bar Zingaro/Zingaro Space
〒164-0001 東京都中野区中野5-52-15 中野ブロードウェイ2F
http://bar-zingaro.jp/

電話:03-5942-8382
日時:毎月第二水曜日(ニーソの第二+水中の水曜日)19時〜21時
(シーズン2:5/13、6/10、7/8、8/12)
料金:2,000円(1ドリンク)

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尊厳

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フードプレイが趣味の文学部生です。谷崎潤一郎と、食事の仕方がきれいな人、きれいなお菓子をぐちゃぐちゃにするのが好きです。
遊んだ食べ物は残さず食べるのを信条にしています。
twitter:@songen_sugoi
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