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『ソイレント・グリーン』から考察するフェティシズム


突然ですが、『ソイレント・グリーン』という映画をご存じでしょうか?

時は2022年。場所はニューヨーク。

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この時代のニューヨークは4000万人の人口を抱えるメガロポリスとなっていたが、一方でその半数が失業し、飢えと貧困に苦しむという巨大なスラムと化していた。20世紀のうちに環境は破壊され、温室効果により地球の気温は上昇、生態環境は減退し、

食料の入手がままならない多くの貧困層の栄養源は、市局から配給される、ソイレント社が生産する高栄養素なタブレット「ソイレント・グリーン」に頼るところとなっていた。

多くの人民が飢え苦しむニューヨークにあって、超富裕層だけが高級住宅街に住み、前世紀同様の裕福な暮らしを送り、人工品でない、天然の食料を口にすることができた…。

ドラマは「食料」と「超富裕層の殺人」という二つを軸に動き、最下層でその日その日を生きる人々と、その食への渇望、何不自由なく暮らす富裕層たちの贅沢な暮らしを対比して描き、そして最後の衝撃的な真実へと流れていきます。

その中で、貧困層の人々は、人としてすら扱われない様子がふんだんに描かれています。

元知識層で、貧困層に落ちてたものは「本」と呼ばれ、その知識と情報検索力を利用される「道具」となっています。

暴動に参加した人々はローダーのバケットに捕まって、そのまま荷台に入れられてどこかに連れていかれてしまいます。

そんな世界の中で、美しく生まれた貧困層の女性は、「家具」としての役割を与えられます。

家具は富裕層だけが所有する権利を持ち(権利というよりも、経済的な理由なのですが)、個人で所有するもの、または建物に備えつけられているものもあります。

家具の役割は所有者によって様々なようですが、夜の相手をすることはデフォルトのようです。また、来客の接待なども

彼女たちは家具なので、主人の許可なくして外出することは許されません。

主人と共に暮らすことで、貧困層よりは遥かに恵まれた生活を送る「家具」ですが、このように人権は制限され、人間としては扱われてない事情が分かります。

この映画では最終的に、人間が人間を用途に応じて「飼う」未来が近く訪れることを予言して終幕します。

さて、Feti.Tokyoは社会派メディアではないので、この作品構造に秘められた社会への警鐘や現実との対比などは置いておくとして、ここで注目したいのは女性を「家具」とする世界設定です。

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ソイレント・グリーンでの家具は、あくまで娼婦であり、人権は大きく制限されているものの、人格も認められる存在です。しかし、女性を「家具」として扱うことが認められていたり、物件によっては美しい「家具」がついてくるというシチュエーションは、なかなかソソるものがあります。

「飼育」などと言うと、性的な目的で女性を(同意の上も含め)監禁するようなダークでダーティなイメージがついてしまいますが、家具として置くとなると、途端に無味乾燥なものとなり、飼育とはまた違った人格否定の空気が生まれてきます。

何しろ家具です。「人間」からすればモノですので、必要な時以外は無関心な「部屋に置いてあるモノ」に過ぎません。しかし、当の「家具」の方としては当然人間としての尊厳や羞恥というものが残っているので、家具扱いされる屈辱には時には耐えられないこともあるでしょう。

しかし、家具はあくまで家具。人間からすれば、家具の気持ちなどどうでもいい話です。むしろ、そのような思考や感情があるということすら無視されているかもしれません。

存在が無視されているにも関わらず、一人羞恥や苦痛に悶える人間家具。人間が多数いる空間で、自分一人が人間として認められず、ただ家具になることを強要されるのです。

人間以下の存在として扱われる人間家具の哀れさに、なぜか思わずうずうずする気持ちがわきたつのはなぜでしょうか?

南條範夫の「燈台鬼」(遣唐使として渡り、行方不明になっていた父親が、頭頂に蝋燭を立てる人間燭台にされていたという話)、戦後の鬱屈とした空気と敗北感の中から生まれた沼正三の奇書「家畜人ヤプー」をはじめ、人間を家具化するフェティシズム作品は商業ベース、同人ベースを含め発表されています。AVも作られています(SODの人間家具シリーズなど)。

このように、それなりに愛好者の多い人間家具ですが、人間の体格を利用したものから、果ては肉体改造を伴うものまで様々であり、一様に総てを包括するのは難しいかもしれません。

読者の中でこのようなシチュエーションが好きな方にも、その深度には大きな差があるかもしれません。

創造の産物であるコミックやゲームには、より過激な内容の「モノ化」を見せてくれる作品も多くあります。作品をご紹介してもよいのですが、Feti.Tokyo的にはどうかと思いますので、ぜひご自身でお探しください!

そもそも、フェティシズムとは物体に対する愛欲を指す言葉です。となると、人間を物体に貶め愛好する人間家具こそ、純粋なフェティシズムと言えなくもない…と思う団長なのであります。

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