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夏の暑さにもマケヅ 憂鬱しよう! ー【懺】・憂鬱少女展


「少女」……文学、絵画、マンガ、アニメ、映画、そして写真と、様々な媒体で人気を博すもの。言い換えれば、フェティッシュな輝きを持ち、なおかつ広範囲のオーディエンスに対して高い訴求力を持つ「少女」という言葉をテーマにした、三度目の展示が8月8日-9日、デザインフェスタギャラリーで開催されます。

筆者は写真展として開催された初回からコアメンバーとして関わっているので、紹介記事はいささか手前味噌になってしまいますが、過去2回の歴史と、進化の過程についてご紹介させて頂きたいと思います。

憂鬱少女展(2014年8月)

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憂鬱少女展は発起人である今井りこさんによるtwitter上での呼びかけで集まったメンバー(男性は筆者のみで、9割女性)で開催されました。Twitterでの募集告知で写真のグループ展が開催されるのは、今では珍しいことではないので、内容自体に特筆すべき展はないのですが、強いていうなれば5人のメンバーの内4人が女性という点かもしれません。

筆者がtwitterの情報で目にしているグループ写真展の多くは多数の男性メンバーの中に若干の女性が参加しているか、女性作家のみという型式が多くある印象を受けます。

女性が多数を占める展示に、少数の男性が参加するということが珍しいのは、『女子カメラ』(ミツバチワークス)や『写ガール』(エイ出版社)などの雑誌名に象徴されるように、カメラ(重厚な機械)は男性的なものとして受容され、女性がカメラを手にする事は特別な意味を付与されるようなジェンダー・バイアスも作用しているかもしれません。
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また、自分の専門(ジェンダー論)的な見地からは、やや懐疑的な「女にしか撮れない女の写真」といった言説が、批判・検証なしに広範囲に流通し、当然のように受容されていることも、見過ごせない点です。

先の言説については、またいずれ論じていきたいと思うので、一先ずは宮迫千鶴『〈女性原理〉と「写真」――来たるべき“水瓶座の時代”のために』(1984、国文社)と飯沢耕太朗『「女の子写真」の時代』(2010、NTT出版社)をご参照ください。
さて、twitter発のグループ写真展(珍しく女性比率が高い)として始まった憂鬱少女展ですが、筆者デザイン等を担当していた関係で、『さよなら絶望先生』へのオマージュと、いわゆる「サブカル」「アングラ」として親しまれている意匠へのフェティッシュが大爆発する形になりました。

参加メンバーのほとんどが初めての展示ということもあり、手探りながらもご好評を頂き、twitterでの被写体募集告知に興味があったので、各作家の在廊時に実際に話をして、後々の撮影に繋がるという例が多くありました。

また、デザインフェスタギャラリーは海外の観光ガイドにも情報が掲載されており、夏期休暇シーズンということもあってか、外国人の来場者が数多くいらっしゃいました。

※ギャラリーblogでの紹介記事
http://designfestagallery-diary.blogspot.jp/2014/08/blog-post_4.html

【俗】・憂鬱少女展(2014年12月)
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DMデザイン:ヒジカタチナミ

初めは1回こっきりの企画だと参加作家も考えていた「憂鬱少女展」ですが、2日間で大きな手応えを感じ、このメンバーでもう一度展示をやりたい! という流れになり、同年の12月に「【俗】・憂鬱少女展」が開催されました。

前回の反省点として、展示コンセプト、スペースの案内、作家情報がわかり辛いなどの項目が上がり、それを改善すべく、無料配布冊子の制作に着手しました。
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前回は想定外だった外国人観光客が多数詰めかけたので、冊子内は英訳も付けたのですが、12月というシーズンもあり、外国人の方は数えるほどでしたが、冊子という媒体は、誰か(日本語を母語としない方も含む)に渡る・貸す・見せる潜在的可能性を秘めているので、現場での直接的な結果は見えませんが、展示記録として制作してよかったという実感があります。

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※ギャラリーblogでの紹介記事
http://designfestagallery-diary.blogspot.jp/2014/12/blog-post_88.html

「憂鬱少女」とは?

「憂鬱少女」という、漠然としたテーマにモヤモヤを抱く方のために、【俗】・憂鬱少女展の配布冊子と、今回の【懺】・憂鬱少女展の配布冊子の巻頭文(筆者執筆)から、重要な個所を引用しておきます。
「憂鬱少女」って何だろう? と改めて考えてみると、笑顔がなくて、ポートレート然とした〈女性/女の子〉写真とは異なるもので、日本のサブカルチャーに脈々と根付いている「少女」なるテーマとも深く結びついているし、twitterのタグには「〇〇少女」というものが氾濫すれど、特にこれといった定義がなく、時代と共に変容する「少女表象」みたいに不定形で、ぼんやりとしたものだと思って頂ければ良いのかも。

今回の特筆すべき点としては、写真に限定されてしまいますが、前回は被写体であったりスタッフだったメンバーがカメラを手にして、展示への参加表明を行ったというのがあります。例えばiphoneは、高性能なカメラ、カメラロール、icloudなど、写真の有効活用に特化した要素を数多く含んでいるほか、instagramやflickrなど、写真に特化したSNSの隆盛は、写真は最早日常生活に定着したコミュニケーションツールであり、フィルムからデジタルへの移行は、かつての「写真家/カメラマンの魔術」という特権的な地位から、大衆に開かれたものへと写真の間口を広げるだけでなく、一部の層にはSNSで写真(というよりは「画像」)を投稿するだけでなく、物体としてのプリント写真を「作品」として展示したいという欲求を抱かせたといっても過言ではないでしょう。

【俗】・憂鬱少女展の特徴としては、初回でスタッフや展示作品の被写体として参加していたメンバーが、自身でカメラを手にし、展示する側に回ったことがあります。

プリントされ、物質となった写真はフェティッシュな魅力を放ちますし、壁にかけられたフェティッシュを媒介としたコミュニケーションも、大きな楽しみに繋がります。

それから約8ヶ月、【懺】・憂鬱少女展の配布冊子の巻頭分に、筆者は次のような一文を記しました。

「憂鬱少女」という、漠然としたテーマについては、前回の配布冊子(残部が会場内に設置してあるので、お持ちで無い方はぜひご一読下さい)でも書いたように、いわゆる「ニコパチ」(ニコっとした笑顔をパチリと撮る)的な広告写真にも重なる規範的なポートレートとは異なり、「ニコ」がなくて、暗い雰囲気でありつつ、「不定形」で「ぼんやり」とした「少女」という表象と結びついたもの……としか言語化できず、オーディエンス側が「憂鬱」という言葉をどのようなイメージで捉えるかで、各作品の見え方も変わってくると思います。英訳に”depression”や”melancholy”ではなく、”gloomy”を選んだのは、ニュアンス的に重い・暗いに引きずられすぎないような意図がこめられるほか、「暗い日曜日(Gloomy Sunday)」を意識してのチョイスです。で……次回はどうなんだろう? 「【獄】・憂鬱少女展」とかかな。
根本的な部分は相変わらずですが、「少女」と言うテーマに真っ正面から取り組むことの難しさを、8ヶ月の間を置いて書いた拙文を見直して、改めて感じます。

「少女」って、なんでしょうね?

みなさんは、「少女」という言葉や、それによって想起されるイメージに、どのようなフェチを感じますか?

SNSやメールのほか、在廊時にお会いできた際、このぼんやりとした問題的(ぼんやりとしたもので構わなく、正解はない問いです)に、みなさんの解答をお聞かせ願えたら、幸いです。

そして、2015年8月【懺】・憂鬱少女展

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【俗】・憂鬱少女展では、イラスト作家さんの加入で写真オンリーの展示から総合展示へと変化し、今回は日本画や新たに写真だけでなくイラストの方もメンバーに加わり、【俗】・憂鬱少女展で2人になった男性陣も今回は4人に増え、まだまだ女性がメンバーの中心ではあるものの、ジェンダーバランスが整ってきました。

もし、来場予定の方で、宮迫千鶴『〈女性原理〉と「写真」』と飯沢耕太朗『「女の子写真」の時代』のどちらかを読んでいる方がいましたら、議論の関係で写真に限定されてしまいますが、「〈男性原理〉」と「〈女性原理〉」という論点を意識しながら、各作品を鑑賞してい頂ければと思います。

あと、今回のセールスポイントとしては、前回は納期の関係で見送った冊子のオールカラーが実現したことがあります。

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オールカラーで調子にのって、やたら壮大で宇宙を感じる表紙になっておりますが、著者が全力でやりたい放題に盛った装丁を楽しんで頂ければ幸いです。

開催概要

期間 : 8月8日-9日

場所 : 原宿デザインフェスタギャラリー WEST 2-D,2-E

東京都渋谷区神宮前3-20-18

『懺・憂鬱少女展』出展メンバー
《写真展示》
・今井りこ
・えぃみ
・カズさん
・鈴木真吾
・AnO&葉月
・TEPU
・ヌコの下僕
・百合子

《絵展示》
・島 円御
・百合子
・蜜ヰゆか

Call to twitter api failed or no records returned. Make sure App keys, tokens & username/hashtag/search string values are right. Furthermore check system requirements(look for settings tab) are met.
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鈴木真吾

鈴木真吾

学習院大学大学院身体表象文化学専攻博士後期課程在籍中。文化社会学、ジェンダー論を専門にする傍ら、多方面に研究領域を拡大中。研究と並行して、サークルC-ROCKWORKを率いつつ、同人誌製作(編集・DTP)やイベント出展、写真撮影&展示、各種媒体への寄稿等で活動中。レトロ、猟奇、アングラ、サブカル、キッチュ、フリンジ、B級・Z級などを愛好。
Twitter:@junk666
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