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死を内に含ませた「生」ー 聖なる身体展のご案内


身体とは一番身近な美であると考えます。
身体の各所細かいパーツフェチの方が多いように人の体とはとにかく
人の興味をひいてなりません。

それは生まれてから今迄一番多くの時間、見て触った生物だからではないでしょうか。
そうして自分自身も祖先からその形を受け継いだ人であるからだと思います。

私が人の形を愛おしく思い執着しているのはそこに完全なる限りを感じるからです。
限りとはつまり「死」です。
様々な人が様々な日常史を送りますが、終着点は皆同じ「死」です。
死とは恒常性の破綻です。
肉体の崩壊です。
生まれ食事をし手足を動かし排泄をし生きるを行うと死にます。

臨床心理学者の河合隼雄先生が小川洋子先生との対談で

心が1から2で、体は2から3とすると、その間が無限にあるし分ける事もできない(中略)
分けられないものを分けてしまうと、何か大事な物を飛ばしてしまうことになる。その一番大事な物が魂だ(※1)

と仰られております。
この文章を読んだ時に深く感銘したことと、今の私の創作の礎になっております
体と言う箱があるからこその魂であるし魂があるからこその人間なのだと思います。

言葉で分けようとすると逃げてしまうものを表現すること、保持することができるのはやはり何かを創ったり描いたりする事だと今は思っています。

今回はそういった思いがあり、
死を内に含ませた「生」の象徴である人の形に執着したグループ展を行うこととなりました。

展示をお願いし応じて下さった作家さんはいずれも絶妙な生と死のバランスの表現者ばかりです。
そうして執拗に人の形に執着していらっしゃいます。

人の形、身体という箱に思いを馳せながら是非御高覧下さい。

※1『生きるとは、自分の物語をつくること』 新潮社 河合隼雄•小川洋子 平成二十三年三月一日:29頁

[聖なる身体展](東京大阪巡回展)

●東京
場所:アートコンプレックスセンター
HP:http://www.gallerycomplex.com/index.html
期間:2015年 8/4(火)~9(日)

●大阪
場所:SUNABAGallery
HP:http://www.kcc.zaq.ne.jp/dfyji500/sunaba/
期間:2015年 9/19(土)~23(水)

表cut 裏cut

作家プロフィール

日隈愛香http://ameblo.jp/nekono-hige0505/

熊本生まれ。京都造形芸術大学大学院彫刻領域卒業。
人体を主なモチーフとし、生と死をテーマに制作している。

山本将也

武蔵野美術大学油絵学科卒業。
2011二人展「  」 galley TEN
2012個展「scent remaining」 Galley子の星

タムラグリアhttp://www.creatorsbank.com/portfolio/index.php?id=hungrea

動植物に強く興味を抱き独学で小動物の 解剖、剥製制作を行いながら油彩を描く。 生物や空の形を通してひとの有様を描く。
主な個展「輪郭線の上にて」Gallery near(2014)

eerie-eeryhttp://IamEerie.exblog.jp/

造形作家。子供の頃感じた「怖い」「痛い」といったトラウマの再現と、 「楽しい」「不思議」といった好奇心の再現を通して素直な感情に触れる作品を 目指す。

YU奇(http://kittygay.xxxxxxxx.jp/index.html)

人形作家。ノスタルジックで奇妙な 少女のぬいぐるみを制作しています。

yhttp://blog.goo.ne.jp/vulnificus_y

吉田良に師事、 ピグマリオン在籍。

山田フユウhttp://fy1204.web.fc2.com/index.html

耽美、線の美しさ、混色の面白さを追求した絵を描く。
個展/カフェ百日紅、スパンアートギャラリーなど。

福本友佳http://gutyagutyu.nigamushi.net/index.html

寄稿:福本友佳

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FetiTokyo編集部

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