アジア最大級のアートイベントであるデザインフェスタVol.41の2日目に、Feti.Tokyo取材班として行ってきました。Feti.Tokyoでは両日、復数のメンバーが各々気になるブースをリポートしているので、各記事に取材者の関心やフェチが見いだせる……やも。
デザインフェスタ 【公式HP】は2011年11月に初めて訪れ、以降は年5月と11月の年2回に欠かさずでかけ、前回(2015年11月)はカフェギャラリー幻のブースをお借りして、制作している評論系同人誌や写真作品を展示させて頂きました。
筆者の主要な制作物は紙媒体の文化評論・批評を中心とした同人誌や、写真作品および写真作品集なので、紹介するブースも写真が多いと見せかけて、イラスト、装飾等が中心になっております。
取材後に銀座モダンアートに搬入の予定があったので、写真ブースまで手が回らなかったほか、自身も写真作品を制作していることもあり、写真関連はどうしても趣味嗜好が偏ってしまうというオトナの事情があって、今回は割愛させて頂きましたが、次回の取材機会があれば、写真ブースを重点的に紹介していければと思っております。
というわけで、早速ご紹介。
【C-233】キャリー・エンパイア
公式HP/twitter: @carrieempire
仮面やイラストで活動するキャリー・エンパイアさん。2015年11月に新宿座で行われた「『背徳』22人展」でご一緒したりと、色々お付き合いのある方で、作風はレトロ・フューチャー的なSF風、ジョン・ウイリーを彷彿とさせるビンテージ・エロチカ風、「雅(みやび)」を感じさせる和風と幅広く。
ブースには作品を使ったグッズや、ダーティー松本氏を表紙に迎えた合同誌『漫画テロトピア』や、アミグルミ作家Chidori Narita(@dolroffo)氏の「ドル・ロッフォのカイキアミグルミ」などが並んでおりました。
「『背徳』22人」展の時には、ジョン・ウイリーやベティ・ペイジが好きというお話をした記憶があり、ボンデージ好きのツボを射抜く作家さんです。
フェチを感じる要素は、靴、骨、鎖骨等。
ちなみに、『背徳』22人展の展示風景は下のような感じで。
【G-317】魔法工場
twitter: @Magic__Factory
マスコットキャラクター「ファントムくん」を使ったグッズを展開するまじっくふぁくとりぃさんのブースでは、レジンや粘土を使った装飾、ぬいぐるみ等、バラエティ豊かなアイテムが多数展開。
推しのアイテムは、もふもふのファントムくんや、最初期のファントムくん(粘土で制作)のピアス等。商品購入のおまけで写真もプレゼントも実施されていました。
フェチを感じるものは、骨、ふわふわ、モフモフしたもの等。
粘土のファントムくんはツルツルで光沢の強い感じでしたが、ふわふわ&モフモフなファントムくんの手触りがかなりツボでした。
【K-288】薔薇十字団
公式HP/twitter: @barajuzidan
カフェギャラリー幻のオーナーでイラストレーターでもある小林義和さんのブース。小林さんの作品のほか、ギャラリー幻のグッズや委託アイテム等を中心に陳列。
これまではギャラリー幻名義で、復数の作家による合同展示という型式でしたが、今回は小林さんの個人サークル薔薇十字団として参加。
筆者も参加した2014年11月はこんな感じで展開。
取材時には、幻の店長でセルフポートレート作品で活動する艶子さんもいらっしゃったので、例の如くフェチについて訪ねてみました。
艶子さんは髪、特に肩くらいまでの長さで、くるっと巻かれた感じのものに、男女問わずフェチを感じるとのこと。
小林さんは、「○○フェチ」というよりも、自然崇拝(アニミズム)や物神崇拝と関連し、民俗学にルーツを持つ本来的な意味でのフェティシズムと絡めて作品を制作。
絵馬に彫り込まれた「件(くだん)」は、その典型例かもしれません。
【E-283、284】パラレル★ ホリック
パラレル★
パラレル★
今回は装飾系を中心に、お馴染みのキノコアイテムや缶バッヂ、タイツ(キノコや人魚姫)などがブース一杯に並べられていました。壁にかけられた旗もオシャレでカワイイ!
うにさんの感じるフェチは、キノコはもちろんのこと、セーラーや童話等。
キノコの登場する『不思議の国のアリス』はもちろんのこと、、現在は『人魚姫』をテーマにした作品を重点的に制作中。
今後の活動としては「来年の」9月に個展を計画中で、その他の活動は決まり次第情報を追記していくとのことなので、適宜blogをチェックされたし。
【A-176】とうもりゆみ
とうもりゆみ 公式HP/twitter: 【@YumiTomori】
関西で活動する水彩画家のとうもりゆみさん。少年・少女や動物を主要なモチーフにしつつ、近年では様々なアリス展への参加もあり、『不思議の国のアリス』をモチーフにした作品を多数発表。
2015年1月にギャラリー幻で行われた「猫と文学」にも参加しており、twitterでは数年前から知っていたのですが、「猫と文学」でようやく原画と対面でき、今回はグッズのほか多数の原画も飾られており、とうもりさんを知った当時から印象に残っていたお気に入りの作品の原画も見れて感無量でした。
デザインフェスタは東京近郊以外の作家さんも多数遠征してくるので、作家さんと直接お会いして話を聞ける貴重な機会でもあります。
とうもりさんのフェチは『アリス』はもとより、「横顔」。
横顔は個人(あるいはキャラクター)のイメージを特定させにくく、自己投影を容易にさせたり、物語の中に入り込めるような印象を感じさせるとのこと。
横顔については、ポートレートにも似た部分があります。被写体を正面から捉え、カメラを意識させた写真では広告的なものであったり、主要被写体(=人物)の魅力を伝えることに主目的が置かれていますが、非カメラ目線や横顔は、フレームの中に写しこまれた他の(従属)被写体との相互作用で様々なイメージを構築します。そして、それを受け取った個々の鑑賞者は、様々な物語を思考の中で表象されていく……なんてことを、お話を聞きながら考えておりました。
【E-278】ハサミック・ワールド
ハサミック・ワールド 公式HP/twitter: 【@salvare035】
浅見雅信さんの立体作品(浅見さんの言葉によれば「切り紙クラフト」)が並ぶブース。精巧さもさることながら、小さいものから大きなものまで、骨格、昆虫、魚類、鳥類etc.圧巻です。
肉眼で見ても楽しく、撮影するとさらに楽しいブースで、浅見さんによる切り紙クラフトの実演も行われていました(実演中だったので、フェチに関するお話は伺えず)。2015年8月8日・9日に科学技術館(九段下)で行われる、第2回「博物ふぇすてぃばる!」にも、第1回に続いて出展されるようなので、気になる人はぜひ(ちなみに、第1回は入場までに長蛇の列が形成されたので、足を運ぶ際はご覚悟を)。
【C-186】Pepacha
こちらも紙を使ったペーパークラフト作品のブース。通路を歩いていたら、ゴツゴツしたハシビロコウに目が止まり、作品を撮らせて頂きました。それにしても、ハシビロコウのあの姿形は、動かない鳥という特徴を抜いても、妙なフェティッシュを感じさせられます。
作家さんはブースにいらっしゃらなかったのでお話は伺えませんでしたが、Pepachalのサイトでペーパークラフトの図面がダウンロード販売されていますので、気になった方はチャレンジしてみては如何でしょうか。家庭用のプリンターで出力すれば、自分の好きな紙を使ったペーパークラフトにチャレンジできるのも、紙フェチには嬉しいポイントです。
【A-418】脳髄博士
2011年11月、初めて訪問したデザインフェスタ。下調べ一切なしで、作家さんとの偶発的な出会いを求めて彷徨っていた際、一目見て虜になった作家さん。
共通の知り合いを通じてお会いした際に、ご近所さんということが発覚したり、筆者の制作物『別冊サブカルナヴァル』の表紙を手がけて頂いたり、初めての展示参加であった銀座秘宝館(2014年3月、銀座モダンアート)でご一緒したりと、付き合いの長い方で、改めて紹介記事を書くのが気恥ずかしくもありますが……。
手塚治虫を敬愛し、サンリオグッズや乙女ちっくなアイテムが大好きで、本棚の一面が関連書籍で埋め尽くされるほどの二・二六事件マニアである脳髄博士のブースには、フェチについてのところで紹介するモチーフや、恐竜、妖怪、オリジナルキャラクター「つむり」を配したイラスト作品や手芸、装飾品、人形、タイツ、iPhoneケース、缶バッジなどが並び、ブースレイアウトも前回と同じく様々な装飾が凝らされ、圧倒的な存在感を放っていました。
脳髄博士の作品は、水彩をベースに、ペン、鉛筆、ドーサ(日本画で使われる画材、膠/にかわ)などを用いたミックス。きめ細やかな質感は原画でなければ味わえないので、ぜひとも間近で見て感銘を受けて頂きたいと思いつつ、今後の展示予定はまだ未定とのこと。
またグッズはヴィレッジバンガードのオンラインストアでも販売中です。
さて、例の如く脳髄博士のフェチでありますが、古い知人でもあるのでフェチについて聞くのも「いまさら感」があったりしますが改めて。
二・二六事件や恐竜はフェティッシュはよく聞いていたので、他に思い浮かぶものを尋ねてみると、和のモチーフ、日本軍、解剖学的な人体、医療器具等。
今回の記事ではブースや作家さんにフォーカスしたものなので、会場全体の雰囲気は1日目の速報や、これから続々と上がってくるであろう取材記事をご参照ください。
毎年5月と11月に開催されるこのデザインフェスタは、筆者も継続的に参加している即売会イベント文学フリマの前後に開催されるので、個人での出展はスケジュールやコスト的に断念しているのですが、前回のカフェギャラリー幻さんのように、ブースをお借りしての出展や、グループでの出展も、今後あるかもしれません。
様々な作家さん・アーティストさんと会えて話せて、見知らぬ作家さんやその作品とも出会えて、そのフェチ溢れる作品をつぶさにご覧になれる絶好の機会がこのデザインフェスタなのです。
今後
またこの他に、夏のデザインフェスタこと万国學生芸術博覧祭(學展)も、8月8日・9日に開催されます。
筆者も8月前半(予定)に、原宿デザインフェスタギャラリーで「【懺】・憂鬱少女展」というグループ展(第1回は2014年8月、第2回は12月)を準備中なので、お時間があればそちらもぜひ。

鈴木真吾
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