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楽しく苦しく狂おしく 第二回 緊縛☆写真部 レポート


縄頭

かつて”本物”のラブレスのナイフに触れたことがあります。
たった一度だけ。

ロバート・ウォルドーフ・ラブレス

それだって、本当に”本物”かはわからない。
「しっくり来て、いいところに重心がくるな」
その感触が本物っぽいなと感じるだけの話。

コレクターというより、アウトドアの実践派なその人は
目の前で、麻縄をぶつりぶつりと断ち切ってみせてくれました。

「縄」というと、浮かぶのはその場面。
そのくらいのイメージしか持ち合わせないワタクシ。

皆様の日々の生活されている中で
縄を使う機会ってどの程度あるんでしょう。

ワタクシには縁遠い縄。

本日はその「縄」が大役を果たします、ある写真部のお話。

お邪魔の先は
ロープ アーティスト
一鬼のこ氏【Web】プロデュース
第二回 緊縛写真部

到着

向かいますスタジオは東京は大久保駅にて下車。
MKスタジオ大久保 【Web

大久保、ワタクシにとっては東京の白地図。
山手線のエアポケットのような
あんまり存じ上げない辺りです。

そんな知らない町の高揚と不安も上乗せして迷い込んでみます。

駅からは徒歩で素直に2分
迷っても5分で到着です。

取材とは言えどうしても最初は緊張いたします。

居場所だの、居心地だの、立ち居振る舞いだの
世間知らずのワタクシには気になることばかり。

外から繋がる階段を降りて地下、入口は賑わっております。
この時点から、予想以上に活気がありました。

受付をてきぱき一手に引き受けるスタッフ
あすみんさんの指示に従います。

手荷物なんかを整理しているうちに
撮影のグループ分けも済みました。

一人で参加する人も緊張するだろうなぁなんて
心配していた最初の気構えもどこへやら。

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自分も会場も準備は整ったようです。

開始

スタート前に主催の鬼のこ氏より撮影の流れとして
モデルさん毎に撮影→品評会との案内がありました。

品評会ってちょうどいいブレイクにもなるし
他の方の写真が見られるのも嬉しいなと。

更にリアルタイムでのTweet等も大歓迎ということ。
公開して差し支えない画像・内容なら広範囲に許可されていました。

なので、そのつぶやきを記事内でもご紹介したいと思います。

撮影チームを事前にしっかり割って、撮影機会が確保されているので
撮影の際の位置取りや周りの人との摩擦なども気にしないで済みます。

さて、セーラー服の可憐なモデルさん
はるかさんの登場とともに撮影開始です。

撮影の時間が始まると、もっと切迫した雰囲気と言いますか
ピリピリした空気感を想像していたのですが、逆にかなりマイルド。

和やかで笑い声も出つつの進行でした。

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班分けのローテーションも円滑に実施され
スムーズに入れ替わってはまたシャッターの音。

「基本、みなさん良識のある大人の方です」
受付のあすみんさんの言葉が思い出されます。

果実

●はるか「興奮して欲しい」

はるか@ロー協!公式029:Twitterアカウント

—「他の女の子の緊縛を見るのも好き」

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「動きがとれなくなるのが好き」

haruka004

「でも、やっぱり縛られてる時が濡れる」

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●もみ「穴の中まで見て欲しい、自信なんかないけれど」

尻屋もみたそ:Twitterアカウント 一転して、和の景色へ。 

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●いつか「鬼のこさんの小道具になれる喜び」

灯火いつか:Twitterアカウント

「表情を作ってる余裕のない時に、にじみ出たものこそが自分」

「そこが緊縛のすごさです」

「ちゃんと壊さずにきのこさんの世界を表現したいです」

シャッターの音は縄への賞賛。
その賞賛は、目前の静かに空間の一点に集中していく。

闇の中にある光の中の
檻の中にいる女の中の
その内に在るものを求めて。

縄打つ者に抗うでも、縄打たれる者が従うでもない
二人してひたすら向かう、ただ一つの場所がある。
そこは黄泉平坂、あるいは極楽浄土。

穢しているのか
崇めているのか

縄に実る果物。
たわわな供物。

紅い麻縄の水引掛けて。

無数のレンズのその奥より覗くは八百万の神々の目か。

賞翫

撮影後にはすぐにスタジオの壁面と
プロジェクターを使い『品評会』が。

scene003

そこには淫らな柔肌も、甘美な苦痛も
意外な構図も、時にユーモラスな場面も。

参加者の皆さんの創意と愛情に溢れる多彩な切り口。

切り取り方、収め方が違うだけでも
ここまで違うんだなぁ、参考になるなぁ。

などと、素人っぷり丸出しのワタクシでありますが
素人ゆえに撮影と同じ位、新鮮で楽しい時間でした。

『美しいものの中には、あまりに完成されているより、
荒削りのままのほうが、はるかに精彩を放つものがある』
ラ・ロシュフーコー

みたいなそんな格好よろしい言葉もありますが
他の人の目線から見た”過程”を感じる写真や
荒っぽいザラッとした写真にグッと来るという
自分でも未知な自分がいるのを新発見出来ました。

参加者各自の自信の一枚や、ユニークな視点の作品に対して
映像のプロとして活躍されているスタッフの方からの
その作品のここがいいという味わいどころの的確な指摘や
こうしてもいいんじゃないかというアドバイスが貰えたり。

撮る方も楽しい。
観るのも楽しい。

公式サイトからもレポートがあがっております。
第二回緊縛写真部レポ

大写しにされた瞬間の参加者の反応や
モデルさん自身からの賞賛とかって
今、ここにみんなで集まっているからこその楽しみです。

それも参加してみて実感できたことです。

陰影

はるかさんの撮影時間の後に
今回の照明の趣旨を伺ってみました。

スタッフのさわやか圭祐さん曰く
「平坦な光の当て方は、アイドルやロリな被写体に向くけど
今回は強めな光を当てて肉体のアーチや
エロさを出す方向のライティングを選んだ」

scene002

「モデルさんからしたらキツイ光が当たることになるけど
この方がいい写真になると思う」

品評会の中で参加者の方から
「複数の照明にしないのか」などの意見が出た際も
しっかりとした哲学の上での形式と説明されていました。

参加者の方の写真にもその効果がばっちり現れていました。

転換

撮影が進んでいくと、現場の熱気と高揚の中で
すこしずつ自分のことを考え出していました。

自分は、どっちだ?

縛りたいって欲望も起きないし
縛られたいって気持ちもない。

なんだ、SでもMでもないのか。

じゃあ、嫌いか?好きか?
それは簡単な問いだ。

好きだ。
美しいから。

鬼のこ氏のこの言葉も、この言葉を生み出した気持ちも
そしてその結果が現れた縛りも、とにかく美しい。

この美しい現象がさらにさらにどう変化していくのか
もっと見たいし、もっと知りたい、と沸き起こる想い。

あけてもあけても永遠に続く扉のように、縄が自分の奥へと招く。
その度に目の前の景色に飛び込んで、胸の中はしんとする。

Sであろうとなかろうと
Mであろうとなかろうと

ただ、のめり込んでしまう。

さっきまでの自分となんにも変わる部分はないのに
もうさっきまでの自分と同じだとは言えない今の自分。

どっかでこんな考えさせられる話あったな。

なんだっけ「テセウスの船」だ。
や、テセウスの船はそんな話じゃなかったっけ。

(本当はこんなお話です【テセウスの船】)

などと、興奮してる時に限って頭の内側で
「ヘンに冷静になって別番組の生放送が開始される」
そういう事って皆様ないですか?
今回は脳内別番組発動レベルの目の前の出来事。

手が届く空間に咲き乱れるのは
爛熟撩乱歓喜暴虐無惨の徒花。

その花々を丁寧に丁寧に縛り上げては
乱暴に乱暴に慈しむ庭師の背中には

『鬼』の一文字。

scene05

漏れる吐息や沸き立つ歓声、時に笑い声。

少し引いてスタジオを見渡していると
縄が進む毎に、時間を重ねる毎に

縛る側と縛られる側が
そしてそれを撮る側が

一体化していく感触。
丸い熱いひとカタマリ。

空気

自由で笑い声の多い、和やかなこの現場の雰囲気。
現場で気を配りながら、進行して行くスタッフの方に聞くと

「鬼のこがこういうの好きなんですよ」

「あの人の持ち味がそうしているんだと思いますよ」

「彼の人柄じゃないですか。
昔からコレですよ。
SMの前に楽しみたい」

異口同音に空気の源に言及。

scene04

そういう空気を大事にしているからこそ

「自分の仕切り方の口調が荒い時には注意されます」

なるほど。

鬼のこ氏が生み出したこの雰囲気を
運営スタッフ各氏が大事にしてこその空気なんですね。

成果

参加してみて実感した事のひとつは
かなり盛りだくさん、ボリュームたっぷりと言うこと。

まず、被写体となるモデルさん。

お三方もいらっしゃると
衣装も、小道具もそれぞれ
バラエティも豊かになるし
単純に撮影時間も多い。

時間があるということは、モデルさんは文字通り拘束時間が長くなるわけで
実際に撮影が始まってみると、そのモデルさんたちの健気さが伝わって来ます。

縄は掛けられた時間に比例して
益々複雑に結び合い絡み合う。

一度、結ばれた縄が解かれては
さらに強くきつく結ばれていく。

狡猾に絞り上げ、締め上げていく。

咲き誇る花を、元の蕾に戻すように
きつく、きつく、きつく、きつく。

撮影する側もいろいろ考えて工夫して頭も体も使います。
対峙する部員の方もかなりエネルギーを要求されます。
ご参加の際は、飲み物とすこし甘いものがあるといいかも。

そして、成果はというと…。

「SでもMでもないこんなワタクシでも、こんな風に撮れました」

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itsuka03

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自分のフィルムロールにデータフォルダに
これだけエロく、かっこ良く美しい作品が
保管されてるって考えるだけでも嬉しい。

なんか、写真が上手になった気がいたします。

余談ながら、身内のスタッフを褒めるのもナンですが
うちのカメラマンの写真を現場で見せて貰った時にも
思わず、声が大きくなっちゃいました。

これ、ポートレイトが好き、女の子を撮るのが好きなんて写真が好きな人や
エロが好き、緊縛が好き、SMが好きなんて方はとにかく楽しいだろうな。

ココに来て、シャッターを押すと、すっごくイイ写真が撮れる。

しかも、その場で見せ合って、意見交換して、頷いたり、笑ったり。
さらに撮影のプロからも賞賛やら共感やら助言やら貰える。

実際のモデルさんからもその場で自分の作品に感想が貰える。

ほんと、緊縛写真部の名前に偽りなし
『部活』の楽しさがここにはあります。

第一回参加の部員の皆さんの成果はこちらにも。

感想

撮影の合間で、お時間を頂き参加者の方からもお話を伺いました。

編集のお仕事されてるという女性、思考サコさん。

「もともと好奇心が強いから」

「実際の現場を体験したい」

「女性の身体が好き」

「単純にエロいし美しい」

scene02

初めて参加された男性

「好きなモデルさんが参加されたから参加した」

「で、初めて参加してみてすごく楽しい」

「雰囲気が明るい」

「すごく撮影しやすい」

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第1回から参加されてる女性

「前回(第1回)iPhoneで参加したら面白くて、今回デジカメ購入して参加」

「同行してる誰かを待ってたら永遠に参加する機会なんて来ない」

「だから、仲間は現地調達で」

そうですよね、写真部ですもん。

どなたのコメントからも
「好き」が伝わって来ます。

縄尻

さすが写真部、終始撮影者に対しての気遣いを感じました。
シャッターコンシャス、フォーカスフレンドリーな撮影でした。

エロい、以上に楽しい。
楽しい、以上に美しい。

縄のお話だけに結びは再び鬼のこ氏の言葉をお借りしましょう。

「みんな写真部に入ろうぜ!」

予告

そんなわけでFeti Tokyoも入ります!
期待の新人ライター 藤井夏子女史による新企画の習い事。

本日お邪魔した大久保MKスタジオで繰り広げられる
第2/第4火曜の「一縄会主催・時丸縄教室」【Web】参加リポート!

ご期待あれかし。

 

文:hachi

photo:hachi,daishi

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hachi

孤児なので人と話せることを喜びます。

あいまいなもの、古いもの、「自己顕示欲の少ない人・引っ込み思案な人の告白」や「懺悔」が好き。
そんなお話を聞かせて頂ける方や作品のヒント・モチーフとなって下さるモノ・コト・ヒト自薦も他薦も大募集です。
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