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62の瞳に切り取られたフェティッシュ――第2回Same location~同じ場所で~展


同じ被写体を複数のカメラマンが撮影するといえば、まず思い浮かぶのは各種撮影会やコスプレイベントかもしれない。それらの多くは、いわゆる「(男性)カメコ」(「カメラ小僧」の略称が転じたもの)がプロアマを問わない女性モデルを被写体にしたものであり、如何に美しく/可愛らしく撮るかに主眼が置かれ、blogやSNSといったweb媒体での写真公開が主な用途で、展示を前提にした撮影会は極めて少ない。

今回紹介するのは、第2回Same location~同じ場所で~展という、一風変わった展示である。場所と被写体は限定されているが、技術・経験は問わず、様々な参加者が写真を通じた自由な表現を提示する展示は、デジタル化された画像として目にすることが大半な写真を、31人の参加者が62の瞳で見出し切り取ったフェチがプリントされた物質として一望し、量の快楽に浸れる稀な機会である。

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Same location~同じ場所で~は同じロケーションで同じ被写体を撮影するだけでなく、全員参加のグループ展までが、一連のイベントの中に含まれている(第1回の展示会場は五反田GLADE Noir)。撮影時に小道具は使えないが、ライティングや撮影機材は参加者の自由、制限時間はモデル1名につき10分以内。スマホ等でなければ一眼レフ、コンパクトデジタル、トイカメラ、フィルム等々、カメラについての制限はなし。作品のレタッチや加工も自由。提出作品に課せられた共通ルールは、A4サイズのプリント作品をスチレンパネルに貼り付けて展示する。これだけだ。

同じ場所での撮影 at カフェギャラリー幻

第1回Same locationの撮影風景

第2回Same Locationの撮影会場は第1回と同じく千駄木カフェギャラリー幻。筆者も制作物の委託や展示等々(4月4日-18日まで開催される「花と毒」展にも参加)でお世話になっている場所で、2015年2月17日の昼から夜まで、総勢31名の参加者による撮影が行われた。

第2回Same locationの撮影風景

今回のモデルは綾瀬ぎん(ウェディングドレス)と砂糖ざらめ(写経ボディアート)の2名。白と黒という色彩的な要素のだけでなく、ボディラインを隠す/ボディラインを出すという点でも対象的であり、どちらもフェチ的要素を刺激するコスチューム(?)といえよう(写真は筆者撮影の展示選外作)。

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プロやアマ(作家的活動を行う者からカメコ的な活動を主にする者まで様々)だけでなく、数えるほどしかカメラに触ったことのない初心者まで、参加者のスキルは多岐に渡り、使用機材も、カメラでは一眼レフ、コンパクトデジタル、トイカメラ、撮影機材ではクリップオフストロボ、LEDライト、懐中電灯、レフホルダーを装着したスタンドに大型レフ板を固定とバラエティに富んでいた(各参加者の撮影風景については、動画を参照)。

同じ場所での展示 at 新宿abilletage

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第2回の展示会場は新宿abilletage。筆者にとっては開店準備中の頃から馴染みのある場所なので、撮影場所であるギャラリー幻と同じく奇縁を感じつつ……という余談は置いて、展示場所について簡単に紹介をしておこう。

abilletageにはオリジナルのコルセットやタイツのほか、作家の装飾アイテムを並べたセレクトショップと、ティーサロン的なスペース(カウンター、ソファー、テーブル席)、試着室、壁面を使った展示スペースがあり、今回の展示では壁面に31名×2枚、総計62枚の写真の壁が構築されている。

ティーサロンの利用は任意なので、abilletageのアイテムや月替わりで変わる作家のアクセサリーや、Same locationの展示を見る目的で気兼ねなく訪問して頂きたい(店舗のある雑居ビルはファミリーマートの隣だが、初訪問では迷いやすいので、迷った時には素直に問い合わせるかgoogle map等に頼るべし)。

abilletageは取り扱いアイテムや店舗の雰囲気から女性(特にロリィタファッションを好む層)向けと思われがちだが、一般層から各種作家まで、幅広い男性客も単独で訪れることが多く、様々な出会いのある文化的なサロンという側面もある(アルコール類もあるので、夜は隠れ家的なオシャレスポットにもなる)ので、男性単独でも物怖じせず、気軽に訪れて貰いたい。カウンターでコロナを飲んでいる筆者にも、時たま出会えるかもしれない。

写真の壁と62枚のフェティッシュ

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壁一面に並べられた62枚の写真。日本写真協会主催の「1000人の写真展」や、日本最大規模の写真展示イベント「御苗場」に比べれば、写真の壁の規模は僅かなものだが、同じ場所で同じ被写体を捉えた写真が一同に介しているので、個々の撮影者かどのような要素にフェチ的な魅力を感じてシャッターを切ったかが窺い知れる。

ある人は表情のクローズアップを切り取り、またある人は空間を含めた全身像を捉え、また別の人は顔を覆った瞬間を撮り、ソファーに寝転んだグラビア風のボディラインを展示作品として選ぶ人もいるなど、31人×2名分、いわば62通りのフェチが壁一面に集約されている。

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印刷方式もまた人それぞれで、大手カメラ量販店のプリントサービス、自宅のインクジェットプリンタを使ったもの(どのような写真用紙を使うかも、撮影者のフェチに左右される)など、プリントされた写真の質感を見比べるだけでも、非常に見応えのある展示である。特に、twitter等のSNSから写真に興味を持った方は、必見であるといっても過言ではないだろう。

同じ場所・同じ被写体をテーマに、撮影技量ではなく、何を切り取り、何を表現したかを並べて眺めるという、コンテスト的な趣とは異なる内容であり、写真の持つ自由な表現性に触れる事ができるチャンスである。

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開催期間は今月31日まで(水曜定休日)なので、新宿を訪れる際には時間の合間をみつけて覗いて頂ければと思う。

 

「Same location~同じ場所で~」

開催期間:2015年3月16日~31日

公式サイト:http://samelocation.html.xdomain.jp/index.html

twitter:@fake_fantasy_

場所:東京都渋谷区千駄ヶ谷5-32-6

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鈴木真吾

鈴木真吾

学習院大学大学院身体表象文化学専攻博士後期課程在籍中。文化社会学、ジェンダー論を専門にする傍ら、多方面に研究領域を拡大中。研究と並行して、サークルC-ROCKWORKを率いつつ、同人誌製作(編集・DTP)やイベント出展、写真撮影&展示、各種媒体への寄稿等で活動中。レトロ、猟奇、アングラ、サブカル、キッチュ、フリンジ、B級・Z級などを愛好。
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